商品価値・市場分析モデル
商品情報や市場成長率と市場シェアの関係から、当商品のマーケティング上の課題を抽出することにより、その時の商品が置かれた市場環境から、コミュニケーションの手法や方法、伝えたいコンテンツなどを推定できる可能性がある。
Product Life-Cycle 分析
このモデルは、その商品(群)が販売開始されてから、販売終了にいたるまでを販売量で4期に分け、それぞれ導入期、成長期、成熟期、衰退期という段階を経るという考え方に基づく。 その各段階において商品の価格も高、中、低、やや上昇と変化し、当然戦略も変わる。
この理論を活用する上で留意すべき点は、商品の機能や産業分野の定義により、あらゆる商品がこのような4段階のサイクルを経るわけではなく、またそれぞれの段階がどれだけの期間続くかも商品、ブランドによって異なる可能性がある事を認識しておくことである。
たとえば写真フィルム業界は成熟期に入ったと思われた頃にデジタル化の進展というイノベーションにより銀塩フィルム市場からの撤退を余儀なくされ大手国際ブランドは市場から姿を消した。
一方、カメラもカメラ付き携帯電話、スマートフォンの普及で一時厳しい時代があったが、デジタルカメラ製品の高機能化と軽量化、扱いの手軽さなどを訴求することで成長を再開した。同様の例にはレコードからCD、固定電話から携帯電話などがある。
SWOT分析
SWOT分析は、1920年代からハーバードビジネススクールのビジネスポリシーコースの一部として開発され、1960年代から70年代にかけてスタンフォード大学で構築された。
SWOT分析は戦略計画ツールの一つで、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人の、プロジェクトなどにおける、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価するのに用いられている。
SWOT分析の目的は、目標を達成するために重要な内外の要因を特定しリスト化し、重要な要因を「内部要因」「外部要因」の基準に沿って詳細に分類し各要因を「強み」と「弱み」の観点から客観的に分析することである。これらの分析結果はマトリックス形式で表されることが多い。(下図参照)
-内部要因
目標への影響により強みまたは弱みとなる。ある目標についての強みは、別の目標についての弱みとなる可能性がある。内的要因には、人材、財務、製造力などのほか、マーケティングの基本的要素 (商品,価格、販売促進、立地条件・物流などが含まれる
-外部要因
マクロ経済、技術革新、法令・社会環境・文化の変化が含まれる。
この分析結果に基づき、目標達成にとって障害となる要因を特定し克服する戦略、あるいは目標達成のために優位な要因を特定し強化する戦略、あるいは障害を排除し優位性をさらに高める戦略などの事業戦略の方向を検討する。
なお、SWOT分析はあくまで1つの手法であり、弱点もあ流ので留意が必要。 例えば、目標を達成する際に本質的に重要であることを考えずに、単なるSWOTリストの編集に注力してしまう可能性があること、また、弱い「機会」と強い「脅威」を釣り合わせるために、明確な優先順位や批判なしに分析が行われる可能性などがある。 さらに、いかなるSWOT項目も早期に排除せずに、それによって生み出される戦略における価値によって重要性が定まるまで材料として思考の範囲に留めておくことが「想定」の範囲を狭めないため肝要である。
マーケティングコミュニケーション戦略立案の例 The Copy Workshop Strategy Seminar Based on Work done for Apple Computer
1990年代に米アップルコンピュータ社がブランドイメージを構築するにあたって、その進め方を社内で検討するためにまとめられたレポートであると推測される。 この資料には当時の米国主要広告会社の開発メッソドが網羅されており、その中には1989年頃にタイ、バンコクのYoung& Rubicam(Y&R)Bangkokでの研修内容が網羅されていたことから実際にアップル社で使用されたと思われる。 このPDFは米国テキサス大学のアーカイブで公開されていた。現在は使用されていないようであるが、人間の価値観に影響を与えるための各種分析手法は現在でも考慮に値する。
このレポートが網羅しているのは、世界中にネットワークを持っていた広告代理店のみならずP&Gのような当時の主要なマーケティング企業のコミュニケーション分析・開発手法であり、これらの手法は2000年代の「ブランド戦略」構築へ向け成長していく過程にあったと考える。
またブランド戦略を考える上で必要な態度や、用語の定義、手法についての簡略な説明もあり、ある意味では実践的なブランド戦略開発の教科書とも呼べると考えているので、参考までに紹介したい。 思いがけず前文には大前研一氏の「The Mind Of The Strategist – The Art
of Japanese Business- (1983)」の一節が紹介され、このような視点で当時のApple Computer社はブランド構築を図ったと思われる。なお同書は英語版が初版で1984年に「ストラテジック・マインドー変革期の企業戦略論」として翻訳出版されている。
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顧客の価値観分析の例 Value Laddering
ブランドがどの様な価値を持っているのかを探るのは、まず企業側がどの様な価値を持ちどういう風に商品・サービスを提供できるかという企業価値分析と、消費者がその商品を購入使用することでどのような感情を持つのかという消費者にとっての価値分析という2面で行うべきと述べました。当然そこには、顧客が求める商品づくりという視点が入り、かつそのように消費者から受け止められたかという結果も必要である。
消費者や顧客の情報を直接取材し商品やマーケティングに反映していた時代の手法でもある「Value Laddering」では、ラダリングというインタビュー手法を活用して、購入者あるいは消費者のインサイトに迫り、その価値観を分析しようとするものある。
このインサイト分析手法は消費者へどのようなメッセージを伝えることが消費者の価値観を刺激するかということも示唆しているため、生産者や販売者が顧客や消費者へ伝えるメッセージの内容(コンテンツ)を選択する場合にも有効である。。
具体的には、ブランドや商品の愛好者や購入者へのグループインタビューで、これらのブランド(商品、サービス)が提供する最上位価値(概念)を導き出すために用いられる他、特定のブランドを提示せずに、各種ブランドに対して抱いているイメージを確認する場合もある。
マスコミを使用したマーケティング・コミュニケーションとは、消費者(ここではオーディエンス)の感情に訴えて、ブランドや商品イメージ(価値)を刷り込んでいくことであるから、ここで当該ブランドや商品が売れている理由を根掘り葉掘り理解し、その上位概念として消費者が重要視していることを知ることは製品上の改善を含め、今後のマーケティング展開に貴重な示唆を与えることになる。
ラダリングというと下図のように、「VALUE」が最上位に位置することが多いが、これは、よりオーディエンスが得られる感情的な利便性を「最上位概念」として記述するからで、実際にはモノに近い下部から梯子を上るように実施される。
○下記から推測される商品(ブランド)の持つ価値(一般言語化)
→消費者が受けた(良い)感情、満足感 使用感:Brand Value
○この商品で使用者が得た満足感?
→この商品を購入することで得た満足感:Customer Benefit (Consumer Benefit)
○その機能や装置が提供した利便性やメリット?
→商品を使うことによる利便性:Product Benefit
○選定の際どのような機能や装置を評価したのか?
→商品デザイン、装置:Product Feature
○どのような目的でその商品を購入したのか?
→商品特(属)性:Product Attribute
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