Communication Market in Japan 2018


日本のマーケティングコミュニケーション市場
Communication Market Japan

      2018  

7年連続のプラス成長で6兆5,300億円、前年比102.2%
インターネット広告費は、5年連続の二桁成長、マス媒体由来のデジタル広告は582億円

㈱電通が2019年2月に発表した2018年「日本の広告費」とは、日本国内で1年間(1~12月)に使われた広告費を、マスコミ四媒体(衛星メディア関連も含む)、インターネット、プロモーションメディアの広告媒体料と広告制作費について媒体社や広告制作会社などの協力を得ながら推定したもの。今回から「マス媒体由来のデジタル広告費」項目(※)が追加された。
(※)マスコミ四媒体由来のデジタル広告費とは、マスコミ四媒体事業社などが主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費のこと。新聞デジタル、雑誌デジタル、ラジオデジタル、テレビメディアデジタルのことで、これらのデジタル広告費はマスコミ四媒体広告費には含まれない。なお、テレビメディアデジタルの内訳である「テレビメディア関連動画広告」は、キャッチアップサービスなどインターネット動画配信における広告費のことを指す。

メディア別ではインターネット広告費が広告市場をけん引

引き続き好調なインターネット広告費が総広告費全体をけん引する結果となった。市場全体としては、まさに構造変化の真っただ中にあると言える。一方、インターネット広告のみで解決できないマーケティング課題を、従来からある媒体と組み合わせるなどして解決する統合ソリューションがより深化した。データやテクノロジーを活用し、各媒体の強みをさらに高めていく動きがより顕著となった。媒体別では、「新聞広告費」(前年比92.9%)、「雑誌広告費」(同91.0%)、「ラジオ広告費」(同99.1%)、「テレビメディア広告費」(同98.2%、地上波テレビと衛星メディア関連)を合計した「マスコミ四媒体広告費」は、前年比96.7%となった。「インターネット広告費」(同116.5%)は、運用型広告を中心に堅調な伸びを示し、加えて、今回初推定したマスコミ媒体由来のデジタル広告費の増加による効果もあり(前年は仮推定・非開示)、広告費全体を大きく押し上げる結果となった。「プロモーションメディア広告費」(同99.1%)は、「交通広告」「POP」「展示・映像ほか 」が増加した。
-出典:2018年 日本の広告費
-source:Advertising Expenditures in Japan Totaled 6,530.0 Billion Yen in 2018

 

デジタル領域の拡大
電通イージス社が6月12日に発表した最新の世界の広告費予測(59か国・地域によると、デジタルへの流れは世界的傾向であり中でも成長が著しいモバイルプラットフォームは2019年には21.4%成長が予測されている。この成長は、モバイル機器によるオンラインビデオの視聴者数が同年には20.5%増加するとの推定による。この推定によると、デジタル分野が順調に成長し、2020年には総広告費の45%に迫る水準になるものと予想されている。これはメディア別の2018年比で新が-8.1%、雑誌が-6.8%となる一方、デジタル分野は11%増と予想されることによる。レポートによるとデジタル領域の中でもビデオ映像購入によりモバイルは21.4%増なると予想され、と、 一方米国においても2019年にはデジタル分野が12.5%成長し、米国総広告費の40%に達すると推定しており、その理由はソーシャルメディアで動画(video)広告の活用が進むからとしている。"Social video is driving growth, with live video growing in the social space."

 

アメリカの動向
先行指標として米国を見てみると既存メディアについては、屋外広告などのOUT-of-Home広告が若干の伸びを予想しているが、電話帳広告や印刷媒体での減少が顕著である。米国の広告費2019年予想は2,238億米ドル(世界の広告費の36.7%)、前年比3.1%成長を見込み翌2020年もオリンピックと大統領選挙の年として3.6%成長を予想している。一方米国においても2019年にはデジタル分野が1,293.4億米ドル(前年比19%成長)し、米国総広告費の54.2%に達すると推定しており、モバイルプラットフォームは引き続き拡大し870.6億米ドルでデジタル領域に支出される広告費の2/3以上を占めると推定されている。"As a digital-first agency, we're well positioned to deliver long-term, sustainable and integrated brand solutions to clients that will put them ahead of the curve when it comes to capitalizing on the continued expansion of technology to deliver meaningful content that resonates with the right audiences."

 

2018年の日本市場環境を俯瞰する

日本市場の国際比較
「2018年 日本の広告費」は6兆5,300億円、前年比2.2%増加と総広告費は7年連続のプラス成長であった。
また財務省によると、日本の税収も過去最高を記録し「基幹3税」といわれる消費税、法人税、所得税の合計が、給与や消費の伸びを背景に前年比で税収が1.7兆円増加し、60兆円超と過去最高になったことが発表(2019/7/2)された。
一方リーマンショック前(2007年)に7兆円超を記録した広告費は、2011年に約3000億円減少したが、その後順調に回復しつつあるものの、7年かかってもリーマンショック前の水準を越えていない。
国の広告費はGDPと高い相関関係にあることから、日米中のGDPとの比較を試みたが、増加する税収とは異なりGDPは2011年の記録を更新できておらず、米中に比較して極めて「緩慢な」成長と評価されるのもうなづける。

 

総広告費の伸び
電通イージス社が6月12日に発表した最新の世界の広告費予測(59か国・地域)によると、2019年世界広告費の伸びは、2018年比3.6%増の6,099億米ドルと予測している。
同社の本年1月発表では3.8%成長としていたが、中国の経済動向、国家間の貿易問題の拡大により見込みを切り下げた。
市場別前年比では中欧が4.9%成長と予測される他、アジア・太平洋地域が4.0%、北米が3.2%、西欧が2.8%の成長と予測している。
最も成長率が高い地域はラテンアメリカで9.1%を予測しているほか、国別では年率で3年連続10%超の市場成長率を見込まれるインドの伸びが際立っている。また、世界最大の市場規模(36%超)の米国は、2020年予測もオリンピックと大統領選挙の年として3.6%成長を予想している。
しかし、日本は2019年および2020年の前年比伸び率がともに世界平均水準を大きく下回っている。

 

日本市場の特性
(1)人口減少と世帯数の増加
2019年6月20日に総務省から発表された2019年1月1日現在の日本の人口の推定値は1億2631.7万人であった。
このうち15歳未満の人口は1537.6万人、15歳から64歳の人口が7531.7万人、65歳以上が3562.4万人で、65歳以上の全人口に占める割合は28.2%であった。数年後には総人口が漸減し、高齢化率(65歳以上の人口の割合)が30%を超えると予想される。

 

(2)単身世帯の増加
一方1989年(平成元年)の世帯数は約4056万であったが、2018年には約5800万世帯と1.4倍に増えている。東京都は更にその傾向が強く、この30年間で477万世帯から709万世帯まで、約1.5倍の増加となっている。上記表には未記載であるが、1975年の世帯数データは、全国が3360万、東京が378万であったので、世帯数が増えているのは長期的な傾向である。
日本の人口は、1989年の1億2300万人から2018年の1億2600万人と2.4%の増加に過ぎないので、明らかに世帯数の伸びの方が大きいが、この理由として、未婚の増加や晩婚化、および離婚する人が増加した事で単身世帯が増えたことが挙げられている。
加えて、世帯規模が縮小傾向にあり、親子三世代が一緒に住む家庭は少なくなっている。また、世帯数増加傾向は全国平均よりも、東京の方が高くなっている事から、若者が上京して実家を離れるケースが増えている事は明白と考えられる。

 

(3)少子高齢化
下図は厚生労働書管轄の「長寿科学振興財団」による世界の高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口割合)である。これによると、日本が高齢化社会の先鞭を切っているのがわかる。

 

戦前に21世紀日本の人口減少を予告
日本の人口推計を発表している機関が国立社会保障・人口問題研究所(略称「社人研」)である。この機関の前身「人口問題研究所」は1939年に他国に先駆けて設立されたが、その翌年には将来推計人口において21世紀に人口減少に突入することを推計していた。 つまり1940年(昭和45年)時点で55年後の昭和100年に当たる2025年の人口について「現在いずれの国においても見るを得ぬごとき若年人口の少数、老年人口の多数なる年齢構成」と予測していた。しかしその後その予測に対して何ら手が打たれることはなく戦争へ突き進んだ。

2050年の日本の人口は1億人台へ減少の予測
2016年に発表された高齢化白書では、高齢化が進む一方、人口も減少を続け2050年ころより日本の人口は1億人を下回り始めると予測されている。さらに22世紀初頭には世界の人口が100億人を超える一方、日本は6000万人台へ減少するとの研究もある。

 

少子高齢化の二つの側面
少子高齢化は、将来的な消費人口減少と収入に限界がある高齢者層の割合が大きくなることを示す。特に日本においては戦後世代「団塊の世代」が75歳以上となることで生じる「2025年問題」が喫緊の課題である。その後2060年には人口が8700万人に減少し、65歳以上の高齢者が全人口の40%を占めると予測されている。これらの現象により経済的には、勤労所得から補填される年金生活者などの受給者数増加や蓄積された金融資産の取り崩しにより生活する層が増え、フロー型の経済からストック消費型の経済へ移行することが予想されるとともに、「昭和」の世代により現在まで構築されてきた市場慣習や秩序についての考え方が変化する可能性がある。 更に国際化などこれらの変化を推し進めるドライバーとして、IOTやAIが貢献することになると推測される。

 

(4)世帯当たり平均所得の低迷
日本の緩慢な成長は国民所得にも反映されている。一世帯平均所得は1994年の664.2万円をピークに低迷し、2017年は 551.6万円と約113万円(17%)低下している。また所得の中央値(所得を低いものから高いものへと順番に並べて人数的に中央にいる人の所得値※)は2008年比でマイナス25万円であり、かつ平均年収以下の世帯数割合が増加していることから、個人あるいは世帯レベルでは景気が回復してきたという実感が湧かないと考えられる。この傾向はIMF発表の消費動向の目安として用いられる指標「一人あたりの名目GDP」にも2011年に日本は48,169米ドルを実現したものの、2018年は39,306米ドルと約750米ドル低下したと発表されているように日本の成長が緩慢であることを示唆している。※単純平均における高所得者の影響を減少させ、より実感に近い指標として算出。

 

(5)資産格差の拡大
野村総合研究所(NRI)の日本の富裕層に関する調査結果(2018年12月発表)によると、2017年に1億円以上5億円未満の純金融資産を持つ「富裕層」は118万3000世帯、5億円以上を保有する「超富裕層」は8万4000世帯に上ることが分かった
日本における少子高齢化社会への移行に当たっては、フロー型からストック型経済への移行が鮮明になったと考えられ、金融資産保有格差が消費行動に影響を与える可能性が指摘される。
金融資産保有状況:&npbs;日本の富裕層に関する調査結果によると現金および換金性の高い金融資産について1億円以上を保有している世帯は126.7万世帯で、日本の総世帯数の2.4%に相当し、その資産規模は全世帯の保有金融資産額の19.5%に達する。これを5000万円以上の金融資産で見ると8.4%の世帯が、国内の総金融資産の35.5%を保有することになる。
世帯平均所得が低下している中で、高額の金融資産保有者が増えている事実は、団塊の世代の退職による一時金の増加にもよるものと思われる。 同発表の中のアンケート結果でも、「親は精神的に頼りになる存在」とする割合は、親リッチの男性が89%、女性が87%、非親リッチは男女ともに81%と報告されており、相続による資産の移動が保有資産格差を生み出しているともいえる。 (下表:日本の富裕層割合の推移)

 

出典: -野村総研:News Release 2018/12/18

 

(6)主要耐久消費財の世帯普及率の推移

 

(7)メディア接触状況の変化
博報堂DYメディアパートナーズは2006年から生活者のメディア接触状況の変化について調査を行っている。その「メディア定点調査2019」によると、2018年の調査結果は以下の通り。

  • メディア総接触時間は初の400分台、過去最高の411.6分
  • 「携帯/スマホ」のメディアイメージは拡張、全イメージ項目の1/2で首位を占拠
  • スマホの存在感が増す中、ネットの情報と適度な距離感を保つ生活者が増加

メディア接触時間の時系列推移(1日当/週平均/東京地区):
メディア総接触時間は過去最高の411.6分(1日当/週平均)と、昨年より15.6分増加し調査初の400分台となった。
「携帯電話/スマートフォン」(14.5分増)、「テレビ」(9.9分増)の増加が大きい。
「新聞」は微増、「雑誌」と「タブレット端末」は微減、昨年増加した「パソコン」は7.6分減少し一昨年並みになった。「携帯電話/スマートフォン」の接触時間は117.6分となり100分を超えた昨年からさらに増加し、120分に迫る勢いである。

 

メディアイメージ:「携帯電話/スマートフォン」イメージの変化
メディアイメージでは「携帯電話/スマートフォン」の躍進が目立ち新たに4項目で首位となった。
「知りたい情報が詳しくわかる」は10.0ポイント増(2018年:51.1%→2019年:61.1%)、「情報が幅広い」は4.7ポイント増(2018年:52.0%→2019年:56.7%)で「パソコン」を抜き、「楽しい情報が多い」は7.7ポイント増(2018年:48.1%→2019年:55.8%)、「身近な内容の情報が多い」は9.7ポイント増(2018年:40.7%→2019年:50.4%)で「テレビ」を抜いた。メディアイメージ調査42項目中21項目で首位となり、初めて全体の1/2を占めた。

出典: -博報堂メディアパートナーズ:メディア定点調査2019

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