Moment of Truth


「Moment of Truth」
消費者が購買を決断する瞬間

「Moment of Truth (真実の瞬間)」という言葉は、1980年代中ごろにスカンジナビア航空(SAS)の経営を立て直したヤン・カールソンCEOが社内の意識改革を目指した社員研修の場で社員へ向けて、顧客との対話の重要性を語った言葉、"We have 50,000 moments of truth every day."(スカンジナビア航空では5万人のお客様に毎日接しています。)に起源が求められる。
彼の話の要点は、スカンジナビア航空の顧客は「顧客リスト」にいるのではなく、毎日直接・間接的にわれわれが接(Moment of Truth (真実の瞬間))している人達である。その接点で得たその人たちの気持ちを大切に行動することが、顧客との良好な関係を構築することに繋がり、次回のSAS利用につながる、という主旨であった。


ヤン・カールソンCEOの社内意識改革について


この言葉が再登場するのは、2005年に米国Procter & Gamble(P&G)のCEOであったアラン・ラフリー氏によってであった。P&Gは1837年創業の老舗企業で世界最大の生活用品メーカーで、他社に先駆けてマーケティング理論を研究しその成果を実践に移していた企業として有名であるが、2000年代当時は深刻な経営不振に陥っていた。

■P&G が提唱した店頭マーケティング概念 FMOT
実は商品やサービスを提供する企業側と、それらを買う消費者との間には、商品とサービスについての情報量に非対称性が存在しているという事実がある。
当然商品やサービスの情報や知識は、提供する企業のほうが消費者よりもはるかに多い。
一方消費者は商品やサービスを選択する際には、本当にそれらが自分の満足に繋がり自分の期待する価値を持っているかどうか商品購入前に知っておきたいという「欲求」がある。企業がその「欲求」を満足させることが商品の購買に繋がるということになる。
つまりその「欲求」を「購買行動」へと導くための「決定的」要素を消費者へ提供する事が企業にとって必要なのである。
このために、企業はまず広告イメージを連想させるパッケージデザインを目立たせる陳列を行う。消費者は店頭で商品を手に取り裏面の商品情報を見て価値があるかどうかを判断する、そして提示価格で他ブランドと比較する、などの店頭での消費者行動決定要因への対応である。

マーケティングにおいて、この考え方を積極的に取り入れたのがP&G である。アメリカの大型スーパーマーケットで同一カテゴリーに多数の(消費財)ブランドが陳列されているその多数の商品の中から自社のブランドを購入してもらうためにどうするか、という研究の中で「真実の瞬間」に着眼した。
それは」、2005年に提唱したFMOT (First Moment of Truth)という店頭のマーケティング概念で、「消費者は、店頭で商品を見て3~7秒で魅力的かどうかを判断する」 という考え方であった。


2005年にP&GのラフリーCEOが唱えた上記の「Moment of Truth」には、First Moment of Truth(FMOT)Second Moment of Truth(SMOT)があった。
まず、第1の瞬間(FMOT))は、消費者が店頭に陳列されている商品を目にして、数秒の間に意思決定を下す(購入するかどうかを決める)瞬間を指し、第2の瞬間(SMOT)は、購入後に実際に商品を使用し期待された満足感を体験し(次回購入を考慮する)瞬間を指している。

4つのMoment of Truth
P&GによりMoTの概念が定義され、かつより詳細な分析によりMoTは3つのステージにおいて消費行動へ決定的影響を与えるとの研究が発表されたが、オンラインビジネスの興隆を受けて2011年にはGoogleがネットで商品情報や使用者の反響を参考に売り場に行く前に購買を決定するという「Zero Moment of Truth」という概念を発表した。
以下、これら現在までの論議をうけて現在明らかになっているMoTの概念を整理する。

  • Zero Moment of Truth (ZMOT):商品をウエッブで検索したり、口コミ情報を見たりした時
    ZMOT is a term coined by Google in 2011, it refers to the research which is conducted online about a product or service before taking any action i.e. searching for mobile reviews before making a purchase. The internet has changed altogether the way consumers are interacting with brands, products or services this online decision-making moment is termed as ZMOT. According to research conducted by Google, 88% of US customers are researching online before actually buying the product.

  • First Moment of truth (FMOT):店頭で商品に接触した時
    When a customer is confronted with the product in-store or in real life.
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  • Second Moment of truth (SMOT):その商品を購入して利用した時
    When a customer purchases a product and experiences its quality as per the promise of the brand.
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  • Third Moment of truth (TMOT):その商品を再度購入しようとした時
    Consumers feedback or reaction towards a brand, product or service i.e. consumer becomes brand advocate and gives back via word of mouth or social media publishing.


出典:Zero Moment of Truth by think with Google

 

Moment of Truthと期待価値

元ハーバード・ビジネススクール教授であったセオドア・レビット (Theodore Levitt)名誉教授は、「顧客が買うのは商品やサービスではなく “期待価値” である」 と述べた。同教授は1983年に企業の存在目的は「単に金儲けではなく顧客を創出し維持することだ」と定義した。 さらに企業の最も重要な資産は顧客情報である」と主張、これによって顧客管理の重要性、顧客との関係をデータベース化しようという考え方が広まり、今のCRMへの流れが加速した。
以下、Harvard Business Review (2008年11月号) に再掲されたセオドア・レビットへのインタビュー記事からの引用である。


顧客は商品やサービスではなく 「期待価値」 を買う
「顧客は(どのような製品やサービスであろうと)自分が望むところを必ずや満たしてくれるという 「事実」 について、事前に 100% 知ることはできない。したがって、企業は 『我々はあなたを満足させます』 という 『誓約』 を売り、顧客はそれを購入することになる。
商品やサービスを買う消費者の心理は、なるべく得られる価値への期待と、実際の現実とのギャップを小さくしたいことである。企業側からの 『誓約』 を鵜呑みにして買って使ってみたけれど、言われていたほど・期待したほどの満足が得られなかったのは避けたい、期待価値ほど実際の価値はなかったという残念な経験はしたくないという思いである。」

これを4つの Moment of Truth に当てはめれば、消費者は ZMOT (事前情報収集) で自分の欲しいものについての期待値を得ておき、FMOT (店頭) で期待値を確認するということになる。SMOT という初めての利用シーンで、期待と実際が交錯するが、実際が期待通り、あるいは期待以上であれば TMOT というリピート購入やファンになる瞬間につながる。
P&G が FMOT という考え方をつくったのは2005年であった。FMOT だけではなく、その前後に存在するいくつかの 「真実の瞬間」 そのものは、人々が何かを買っていたどの時代でもあった。お金と商品やサービスをやりとりする以前の、物々交換の時代でも真実の瞬間はあったはずである。
Moment of Truth という考え方は、古くもあり新しくもあるマーケティング理論である。  

 

  

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